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「環境や野生生物を守りたい。」個人の思いと活動を、寄付によってつなげるWWFと遺贈寄付/ 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)

公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)

人と自然が調和して生きられる未来をめざして、サステナブルな社会の実現を推し進めているWWFジャパン様。100カ国以上に広がる国際的なネットワークを活用し、希少な野生生物の保全や、持続可能な生産と消費の促進のため活動の幅を広げています。遺贈寄付に取り組むに至った経緯や、どのような活動をされているのか、ご担当者様にお話を伺いました。

目次:

1.相談数の増加から遺贈寄付の取り組みをスタート

____WWFジャパンの事業の概念や理念をお聞かせいただけますでしょうか?

私たちは、WWFという国際的な環境保全団体の日本オフィスです。人と自然が調和して生きられる社会を目指していますが、野生生物基金という「野生生物の保護」を原点としています。地球上の人口が80億を超えた今、野生生物を守るためには生息域を守らなければならず、生息域を守るためには、人の生活域との調整が必要になります。生息域を守りつつ、そこで生活している人がどうすれば生計を維持しつつ、持続可能な形でその地域が発展できるのか、現場のニーズや状況を理解する必要があります。

例えば、現実問題として森林を伐採して農地を広げる必要がある場合もあります。そのときは、限られた農地でいかに生産性を上げられるか、そのための技術指導も行いますし、啓蒙活動もしています。その地域を管理している自治体やコミュニティなどとも協議しながら進めており、活動がかなり多角的になってきています。生物多様性の回復は2030年までに、地球温暖化防止のためカーボンニュートラルを2050年までに、2つの目標を掲げて日々活動しています。
 

____活動が広がってきているなかで、遺贈寄付に関してはどれくらいの時期から取り組みを開始していますか?

本格的に遺贈寄付の受け入れを拡大してきたのは2015年頃からです。包括遺贈や現物不動産の遺贈のご相談が多くなってきたこともあり、2020年頃から本格的に検討を始め、2021年には「遺言執行者による換価が難しい場合には、現物不動産の遺贈も、事前に売却可能性などを精査した上で検討可能」という方向に舵を切りました。

 
____実際に取り組みを始めるにあたって、障壁になったことはありましたか?

現物不動産を受け入れた場合は、すみやかに換価し、その換価資金を活動資金に充てることとなります。不動産の換価に関する知見は団体内にはないので、専門業者の意見を取り入れることにしています。また、包括遺贈となると「相続人と同等の地位を得る」、つまり相続人としての義務と権利を持つため、債務があった場合は債務も承継します。保証債務の存在など、債務は見えない部分も多いので、十分に状況を把握している専門家などと提携して進めていく必要があります。このあたりは他団体と同様にまだまだ検討課題として残っているところですね。

 
____遺贈寄付をされる方はどのような方が多いのでしょうか?

WWFの会員様、サポーター様と同様に、やはり「野生動物が好き」「自然が好き」「美しい環境を守りたい」という気持ちがあり、そのために何か貢献をしたいという動機の方が多いように思います。WWFのことをご存知でなくても、「誰も相続人がいないため、このままだと亡くなったら私の財産は国庫に入ってしまうが、せっかくなら、そうではなく野生動物や自然環境を守るために何か活用できないか」と金融機関や弁護士など士業で遺贈寄付について相談された際に、WWFをご紹介いただくようなケースが多い印象を受けます。

遺言書の作成時には、受け入れ先への通知や確認は義務ではありませんので、これまでは亡くなって初めてわかることもあったのですが、近年はお元気なうちにお知らせくださる方もが増えてきています。そういった方とのコミュニケーションを増やしていくための取り組みを始めているところです。

 
____具体的にはどのような取り組みでしょうか?

レガシーサークルという、WWFへ遺贈する内容の遺言書を作成くださった方が、任意でご参加いただけるサークル活動(無料)を行っています。メンバーの方には年4回の会報とニュースレターを作成してお届けしていまして、さまざまなイベントも企画していきたいと思います。

昨年10月にサークルメンバーの交流会を初めて実施しました。お茶を飲みながら雑談するようなイメージですね。印象的だったのは、参加された方から「野生動物や自然環境の保護の話を、同じ想いで語り合える方々と、実際に会ってお話ができる、貴重な機会だったのでとてもよかった。」という意見をいただいたことですね。
 
また、遺贈担当として様々な方とお話ししていて感じるのは、「終活」や「遺言書」はネガティブなものでは決してなく、むしろしっかり備えることで、自分の希望を叶えやすくする、ポジティブな機会であり、遺言書はそのためのツールに過ぎないと感じます。
 
交流会に参加された方を見ると、50代の方が中心でしたが、遺言書作成者は20代から100歳近い方まで幅広く、年齢は関係ないのだなと感じます。全体的にみなさんアクティブで明るい印象でした。


____交流会など、オフラインで実際にお会いできる場をもつということはとても貴重で有意義なことですね。活動の幅を広げながら継続してきたことで、何か実感している変化はありますか?

日々の会話や、交流会などでの声も含めて、遺贈を決めてくださった方々のご期待や想いを、そのお気持ちに寄り添いながら、丁寧に共有していくことで、サークルメンバーや、遺贈を検討中の方々だけでなく、受け取る立場であるWWFの職員や役員まで含めた全員が、そのありがたさを、ますます意識するようになってきた変化は大きいと思います。
 
遺贈寄付の受け入れ判断は難しく、時には売却が難航しそうな資産や、ご親族の紛争が予想される場合もありますが、「一生涯かけて築き上げてきた財産をWWFに託したい」とのお気持ち、信頼には、深い感謝と共に、寄り添いたいと思っています。
 
だからこそ、団体内のすべての役職員の意識づけはとても大事だと思っています。通常のご寄付ももちろんなのですが、「大切な財産を託していただく」ということの重さ、ありがたさを肝に銘じて、受け取る側としてでき得る限りの努力をしたいです。
 
WWFへ遺贈寄付をしてくれる方の思いを団体内に浸透させていくというのもまた、遺贈担当者に求められている、非常に大切な役割ですね。

2. 大切な思いを継いで活動へつなげていく

____遺贈寄付の担当をされていて、印象に残っている事例はありますか?

遺贈寄付の担当になって最初のケースは特に印象に残っています。お子さまのいないご夫婦だったのですが、ご主人がWWFの長年の会員様で、自然がとても好きな方でした。奥様はマリンスポーツが好きなアクティブな方だったのですが、ご病気を患い若くしてお亡くなりになりました。ご主人が遺品を整理しているとその中からご主人宛の書き置きが見つかりそこには「WWFに相当な金額を寄付して欲しい」ということが書いてあったそうです。正式な遺言書の様式ではなかったものの、ご主人はその思いを大切にされて、相続財産からの寄付という形で、WWFの海洋保全活動に託していただきました。 

お住まいが海に近いので、お二人で海岸の清掃活動をされたり、また、犬がお好きで保護犬の活動をされたりしていたようです。奥様はご主人がWWFの会員としてその活動を支援されている姿を見ていらっしゃったのでしょうね。奥様がそんな風に思われていたのではと感じて、お話を伺った私たちも心にぐっとくるものがありましたね。

ご寄付いただいた金額はかなり大きな額でしたので、国から褒章を授与されることになったのです。ご主人は、ご自身ではなく「奥様の名前で」褒章を受けたいということでした。ご夫婦のお互いを思うお気持ちや、ご主人に思いを託す奥様の思いなどを察して、いろいろなことを感じました。WWFの中でもこのお話はご主人のご了解を得て共有させていただいています。 
 

____大切な思いを皆で共有して、その思いをその後の活動にどうつなげるのか。とても大切なことですね。寄付いただいたものの使い方はどうされていますか?

基本的には、野生生物保護や環境保護など緊急性の高いものから使わせていただいています。寄付された方に、特定の活動に活用してほしいなど特別な思いがあれば、なるべくご希望に沿うようにしています。

 
____相続人の方からご相談が入るケースもあるのですね。
 
相続人の方から、相続財産の寄付についてのお問い合わせもよくいただきます。前述のように書き置きやエンディングノートが残されており「故人の遺志を受け継ぎたい」というケースや、相続人の方ご自身の寄付をしたいとのお気持ちから、相続財産の一部をWWFに寄付されるご遺族の方もいらっしゃいます。(相続税の申告期限までに相続財産の寄付をすると、WWFのご寄付分は、申告により相続税が非課税になります。)
 
遺贈寄付は、お元気なうちに遺言書を作成することで、ご自身の亡き後の財産を寄付する仕組みですので、基本的にはご本人からのお問い合わせ、または遺言執行者である弁護士や司法書士、金融機関からのお問い合わせです。
 
しかし前述のケースのように、遺言書としては成立していなくても、ご親族様がお気持ちを汲んで寄付をしたいという場合には、「相続財産寄付」としてお受けする場合もあります。
遺言書は、様式の不備などがなければ、法的拘束力を持つ書類になりますので、ご希望が叶う可能性が高いです。しっかりと意思や財産配分を書き示すことで、ご親族様間の紛争を防ぐ一助にもなりますし、財産一覧を書き出してあること、また遺言執行者を指定しておくことで、相続手続きがスムーズに進む場合が多いため、作成できるのであれば遺言書の形にまとめられると、ご自身にとっても、周りの方にとっても良いのではないかと思います。

3. 関心の高まる「不動産の遺贈寄付」

____色々な団体様のインタビューをしていて、「不動産の遺贈寄付が進めば、もっと寄付しやすくなるのに」と常々思います。WWFでは、不動産の遺贈寄付に関して柔軟に対応されている印象を受けたのですが、どれくらい執行しているのでしょうか?

2021年から不動産の現物遺贈寄付の受入れを開始していますが、幸い皆様ご健在ですので、実際に遺言書による不動産の遺贈寄付が執行されたものはまだありません。不動産の遺贈寄付を含む遺言書の作成相談の件数は年によってばらつきはありますが、10数件程あり、増えてきている印象があります。

遺贈寄付の相談をお受けすると、7~8割は不動産の遺贈寄付に関することであり、特にご自宅に関する相談が多いです。社会情勢をみてもおひとりさまが増えていることが関係していると思います。
 
____不動産遺贈を受ける時にポイントとなることはありますか?

現物不動産の遺贈を受けた場合、基本的にはすみやかに換価の上、活動資金に充てさせていただきます。保有を続けるのではなく換価させていただくことにつき寄付者様に同意をいただいています。また、換価した際に発生する可能性のあるみなし譲渡所得税の負担者について、遺言書に明記いただくようお願いしています。

換価性がありそうかの判断については、不動産業者に相談しています。不動産に関しては私たちも不動産市場がどうか分からないので、不動産の情報をご本人にお聞きして、それを元に不動産業者に相談をした上で、将来問題なく換価できるかどうかを判断しています。

4. 団体紹介

WWF® and ©1986 Panda Symbol are owned by WWF. All rights reserved.

団体名
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)

代表者
会長:末吉 竹二郎

所在地
東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル3階 

設立年
1961年(スイス)、1971年(日本)

<ビジョン>
人類が自然と調和して生きられる未来

<ミッション>
・世界の生物多様性を守る
・再生可能な自然資源の持続可能な利用が確実に行われるようにする
・環境汚染と浪費的な消費の削減を進める

<活動概要>
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年にスイスで設立されました。 人と自然が調和して生きられる未来をめざして、サステナブルな社会の実現を推し進めています。 特に、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動を行っています。  

●主な活動

1. 地域社会と連携し、アフリカゾウを守る 
40年あまりの間に3分の1以下に減少したアフリカゾウ。 原因のひとつは象牙を狙う密猟です。また、生息地も減っており、それに伴って人里に出てきてしまうゾウが増え、農作物や地域住民に被害が発生する問題も起きています。 WWFは、象牙の密猟や密輸を撲滅するための取り組みを進めるとともに、地域社会と連携して、ゾウが人里に近づくのを防ぐさまざまな対策の導入、分断された生息地の回復をめざす活動を進めています。

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© Martin Harvey / WWF

2. 森の保全と回復を通して、トラを守る
20世紀を通して、トラは減少し続けてきましたが、現在、ようやく回復の兆しが見えてきています。そのため今後、特に重要になるのが、トラが生息できる森を増やすことです。 トラがすむ東南アジアの国々では、木材や紙、パーム油、天然ゴムなどの生産が、森を減少させる要因となっています。WWFはこうした生産活動が、森を破壊せず、持続可能な(サステナブルな)形で行われるよう改善していく取り組みも実施しています。 

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© Shutterstock / Bhasmang Mehta / WWF-International

3. 地球温暖化をくいとめ、コアラを守る
2019〜2020年にかけてオーストラリアを襲った大規模な山火事は、開発などによって失われつつあるコアラのすむ森を、いっそう狭めることとなりました。 もとは自然現象である山火事が、今では地球温暖化の影響で、大規模化・長期化しています。WWFは、火災で失われた森の再生や、野生動物への影響調査を進めるとともに、地球温暖化防止に向けて、脱炭素の実現を政府や企業に働きかける国際的な活動にも注力しています。

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© naturepl.com / Doug Gimesy / WWF

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